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【ニュース】改正GX推進法が成立 ー 大企業に排出量取引制度の参加が義務化

2024年5月28日、政府は参議院本会議にて「改正GX(グリーントランスフォーメーション)推進法」を可決・成立させました。この法改正により、2026年度から年間10万トン以上のCO₂を排出する大企業に対し、「排出量取引制度(ETS)」への参加が義務化されることが正式に決まりました。


■ 排出量取引制度(ETS)とは?

政府が各企業に対してCO₂排出枠を無償で割り当て、企業間で排出枠の売買を可能とする「カーボンプライシング制度」です。排出枠を超えた企業は市場での購入が必要になり、逆に余剰が出た企業はその分を売却または翌年に繰り越すことができます。

この制度は、企業に経済的なインセンティブを与えることで、効率的かつ現実的な脱炭素化を促進する仕組みです。

画像出典 https://journal.meti.go.jp/p/36485/


■ 対象企業と影響

対象となるのは、鉄鋼、電力、自動車産業など、CO₂排出量の多い約300〜400社。これらの企業で、日本全体の温室効果ガス排出量の約6割を占めており、制度の本格導入による影響は極めて大きなものとなります。

なお、制度違反により排出枠を超過した場合、取引価格の上限に1割を加えたペナルティが課される予定です。


■ 脱炭素と企業経営の新たなステージへ

今回の制度改正は、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けた本格的な一歩です。初期段階では排出枠は無償で配分されますが、2033年度以降は電力業界を皮切りに有償化される予定となっており、企業にとっては戦略的な対応が求められます。

また、本制度はGX推進機構が運営し、GX経済移行債(10年間で20兆円発行予定)の償還財源としても活用されるなど、国家的な経済構造転換の柱として位置づけられています。


■ 今後に向けて

対応コストの増加が懸念される一方、制度が安定的に運用されれば、日本企業にとって世界標準の「脱炭素経営」を進めるチャンスでもあります。今後、GX推進法を踏まえたカーボンクレジットの活用や、自主的な排出削減の取り組みがますます重要になってくるでしょう。

カーボンゼログローバル株式会社では、制度の最新動向を引き続き注視しながら、企業の皆様が持続可能な経営を実現するための支援を強化してまいります。

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