ベトナム、ホーチミン市とダナンに国際金融センターを開設へ
— 世界金融ハブへの本格始動、透明性と競争力を備えた制度設計も明示 —
ベトナム政府は、2025年の運用開始を目指し、ホーチミン市とダナンに国際金融センター(IFC)を設立する方針を正式に決定しました。これは6月27日に国会で93.5%以上の賛成多数により可決された新たな決議に基づくもので、同国が国際金融の舞台に本格参入する動きとして注目されています。決議は9月1日に施行される予定です。
2都市が担う異なる役割
今回の計画では、ホーチミン市とダナンがそれぞれ異なる役割を担いながら、協調してIFCの発展を支えていく構想となっています。
- ホーチミン市は、資本市場・銀行・金融イノベーションの中心として、フィンテックの実証環境(サンドボックス)を導入し、専門取引プラットフォームやデジタル金融のモデル開発を進めます。
- 一方、ダナン市は、グリーンファイナンスとデジタル金融の拠点として、デジタル資産・通貨、高度な決済エコシステムなどの実証フィールドを構築し、ブティック型の投資ファンドや送金業者の誘致を目指します。
世界の投資家を惹きつける優遇措置
今回の決議には、国際的な金融機関や投資家を呼び込むための多様な優遇制度も盛り込まれています。
- 土地リースは最長70年間
- 外国人専門家は2030年まで所得税免除
- 優先分野の新規投資には30年間法人税10%を適用(うち最初の4年間は免税、9年間は半額)
- 非優先分野でも15年間の軽減税制が用意されています。
また、IFCで取り扱いが可能な金融商品として、デリバティブ取引、カーボンクレジット、文化・芸術資産、貴金属、グリーン金融商品などが例示され、柔軟な制度設計が進められています。
国際基準に基づく紛争解決メカニズム
投資家保護の観点から、ベトナム法・国際仲裁・両方の選択が可能な紛争解決制度が導入され、国内外の裁判所や、IFC内に設置予定の仲裁センターなどを通じて対応可能となります。
強固な監視体制と国際社会への宣言
財務大臣グエン・ヴァン・タン氏は、透明性の高いルール整備やマネーロンダリング対策の強化、流動性管理ツールの整備が進行中であることを強調し、次のように述べています。
「ベトナムはもはや傍観者ではありません。この決議の採択は、我々が国際金融における真のプレイヤーとして準備ができているという力強いメッセージです。」
ベトナムは、2035年までに世界トップ75の金融センター入りを目指し、2045年にはトップ20入りを視野に入れた中長期計画を描いています。