森を守り、経済を育てる。新しい価値の循環をつくる挑戦
森と経済をつなぐ、カーボンクレジットの最前線
最近、「カーボンニュートラル」や「脱炭素」という言葉を耳にしない日はありません。
けれども、その意味を本当の意味で理解し、行動に移している人は、まだごく一部ではないでしょうか。
「環境問題は大切だ」と感じながらも、日々の生活や経済活動の中では、どこか遠い話に聞こえてしまう。
私自身も、かつてはそう感じていました。
しかし今、世界は明らかに転換期を迎えています。
“環境を守ること”と“経済を成長させること”は、もはや相反する概念ではなくなったのです。
むしろ、これからの時代においては「環境を守る行動」こそが「経済的価値を生む」新しいルールへと変わりつつあります。
その変化の象徴こそが、カーボンクレジットという仕組みです。
経済の中に「森の価値」を取り戻すという挑戦
森林は、二酸化炭素を吸収し、地球の温暖化を防ぐ重要な存在です。
しかし、私たちの社会では長い間、森林の価値は「木材」や「土地」としてしか評価されてきませんでした。
つまり、「伐ること」でしかお金にならなかったのです。
結果として、多くの森林が伐採され、再生が追いつかないまま荒廃していきました。
私がこの現実に強い疑問を抱いたのは、ベトナムの森林プロジェクトを視察したときでした。
目の前に広がる緑の大地は美しかった。しかし、そこに暮らす人々の多くは、「木を守るほど貧しくなる」という矛盾に苦しんでいたのです。
――「守ることが損になる社会を、どうしたら変えられるのか」
それが、私の中で“事業”としての使命へと変わりました。
「経済」と「環境」を両立させる、カーボンクレジットの力
カーボンクレジットとは、森林の保全や再生、再生可能エネルギーの導入などによって削減・吸収されたCO₂を「価値」として可視化し、取引できる仕組みです。
つまり、森を守ることが“経済活動”として報われる時代が始まったということです。
かつて「環境対策=コスト」と言われていた構造が、今や「環境対策=利益」へと変わりました。
この転換は、単なる政策やトレンドではなく、人類の経済の根幹に関わる“新しいルール”です。
そしてそのルールを、アジアの現場で実際に形にしていくことこそ、私たちの使命だと考えています。
私が信じていること ― “価値”の再定義
私がこの事業に携わって感じるのは、「価値とは何か」を問い直す時代が来ているということです。
これまで企業は、利益や成長率を中心に評価されてきました。
しかしこれからは、「どれだけ地球や社会にプラスを生み出せるか」が、本当の意味での“価値”になる。
森を守ることも、CO₂を減らすことも、すべての人の未来を豊かにするための「投資」です。
その循環が持続的に回るように設計された仕組み――それがカーボンクレジットです。
私たちは、その“見えない価値”を“見える経済”に変える挑戦を続けています。
共に未来をつくる仲間へ
カーボンクレジットの市場は、まだ始まったばかりです。
ですが、この数年の間に確実に世界が動き始めています。
私たちは今、環境ビジネスの「夜明け前」に立っています。
森を守ることが、未来の子どもたちの笑顔につながる。
その想いを“数字”という形に変えることができるのが、この仕組みの魅力です。
もしこの文章を読んで、「自分も何かできるかもしれない」と感じた方がいれば、
ぜひ一度、私たちの取り組みに目を向けてみてください。
森と経済が共に成長する未来を、共に描いていきましょう。

