AmazonとEni、ベトナムの森林由来カーボンクレジットに高い関心
― 国際企業の注目集める新たなグリーン投資先として前進 ―
ベトナムは、森林由来のカーボンクレジット市場における新たな注目国として、世界的な関心を集めています。米国のAmazonやイタリアのエネルギー大手Eniといったグローバル企業が、同国の自然林を活用した炭素隔離・貯留プロジェクトから創出されるクレジットの購入に強い意欲を示しています。
現在、ベトナム農業環境省(MAE)は、森林カーボンクレジットの移転や取引に関する新たな政令案の意見募集を行っており、法的枠組みの整備が本格化しています。注目すべきは、外国企業や個人によるクレジット購入を可能にする規定が盛り込まれている点です。これは2017年の林業法では認められていなかった新しい動きであり、市場の国際化に向けた大きな一歩となります。
同案には、自主的にクレジットを購入する国内企業も対象とする拡大方針が含まれており、森林炭素市場の活性化とエネルギー・交通・廃棄物処理など他セクターとの競争力強化が期待されています。また、炭素クレジットの移転方法、価格設定、取引手段(契約・取引所・森林保護基金経由)など、具体的な運用メカニズムも明確化される予定です。
ベトナムはすでに2022年、北中部6省におけるパイロット事業を通じて、約1,030万トン分のCO₂排出削減クレジットを世界銀行に販売し、5,150万米ドルの収益を得る成功を収めています。今後、この成功モデルを全国へ展開するには、包括的な法整備が不可欠とされています。
政令案ではさらに、森林由来クレジットによるすべての取引が、2030年までに温室効果ガス排出量を15.8%削減するという国家目標のうち、3.5%分を担うことを明確にし、持続可能な森林管理と地域住民の生活向上の両立を図る方針も打ち出されています。
ベトナムはこのような制度整備を通じて、国際的なグリーンファイナンスへのアクセスを強化し、国内外の企業が持続可能な開発の潮流に沿って行動できる環境を整えようとしています。森林資源を守りながら、気候変動対策にも貢献するこの取り組みは、今後さらに注目を集めるでしょう。